コラム:健康な脳を維持するために(その2)
作成:企画委員 村上深
監修:脳神経内科医 飯塚あい
みなさんこんにちは。
今回のコラムは健康な脳を維持するための工夫についてです。
趣味についてだけにとどまりませんが、脳は「新しいこと」をすると活性化します。
テキサス州立大学のデニス・パーグ教授が行った研究では、「裁縫」や「ipadを使う」などの新しい知識に取り組むグループと「パズル」や「おしゃべり会」などこれまでの能力だけで充分な活動ができるグループに分け、比較調査を行いました。
この結果、新しい知識に取り組むグループは「記憶力」や「処理速度」が向上しました。これは高齢になってからも同様で、知的好奇心をもって新しいことを始めれば、脳はどんどん進化していきます。
さらに脳の活性化に良い効果が得られることとして、2つの作業を同時に行うことが良いことがわかりました。これを「デュアルタスク」と呼びます。
好きなことや趣味は「デュアルタスク」の宝庫です。例えば料理なら、献立を考えることや材料を買いそろえること、調理の段取りを考えることが脳の「デュアルタスク」になりますし、鍋の火加減を気にしながら野菜を切る、ということも「デュアルタスク」です。
囲碁や将棋などの頭脳ゲームも同様で、全体の局面がどういう状況にあるか把握することや、次の1手をどのように具体的に決めていくか、といった考え方、刻一刻とかわる攻撃と守備のバランスなど、考えることは多岐にわたります。
最後に大事なこととして「コミュニケーション」が挙げられます。人と会ったり、グループで活動する中で、会話をしたり、一緒に食事をしたりといったごく普通のことが、脳をフル活動させています。
話を聞いて理解したり、何を話すか考えたり、相手の気持ちを思いやったり、こういった人間的な活動の1つ1つが脳の活性化に役立ちます。
新しい趣味を通じて新しい人とコミュニケーションを行うことが、健康な脳を維持する一石二鳥の妙手となります。
みなさんも、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?