コラム:健康な脳を維持するために(その3)
作成:企画委員 村上深
監修:脳神経内科医 飯塚あい
みなさんこんにちは。
アメリカの大リーグでイチローが今なお活躍し続けている理由として、強じんな体と卓越した野球センスにあることはもちろんですが、これに加えて集中力や洞察力を身に着けているためではないかと思います。
そんなイチローの趣味の1つに囲碁があるということはご存知でしょうか。
集中力や洞察力に、囲碁との関連性があるように思えるのです。
小学生時代、イチロー少年は父親からの勧めもあって「学校では囲碁部に所属し、地元の囲碁教室に通っていたほどの囲碁ファンで、自宅では父親とよく対局していた」と報じられています。「囲碁の効用」に関する書籍には、必ず「集中力、洞察力、大局観」が指摘されていますが、イチローの野球での集中力と洞察力は、子どものころからの囲碁を通じた訓練と経験が大きく寄与していると思えます。
また、イチローはアスリートとしてだけでなく、その信念や哲学、野球に対する姿勢についても人々を引き付ける魅力と説得力を持っています。囲碁でも1試合毎に勝敗が決まり、試合を振り返ることで自らの行いを振り返る作業がありますし、試合中にミスをしてしまったり、試合に負けてしまった後にどのように自分をコントロールして、次の試合に向かうことができるか、というプロセスは非常に大事です。ひょっとしたらイチローも、野球と囲碁で精神を鍛え、行動に反映してきたのかもしれませんね。