弱くても楽しんでます
弱くても楽しんでます
香山由志子
私が碁を覚えたのは25年前、日本棋院にアルバイトとして勤務してからのことです。職種はカメラマン(いまはカメラパースンというようです)ですが、プロの対局を終局時に撮るときなど、せめてどちらが勝っているかくらいは知っておきたいと思ったのが一番の動機でした。
写真課(いまはありません)の上司に教えられましたが、先生もかなり弱かったようで、だれかに冷かされました。「正師を得ざれば学ばざるにしかず」
ルールをある程度知ってから、編集の人たちに何度も打ってもらいましたが、頭が悪いのか、性格がよすぎるのか、少しも強くなりません。ある時は7級、あるときは15級。負ければそれ相応にくやしいのですが、勝ってもさほどうれしくはなく、いまは一年に数回の対局です。
おまけに、考えているときにぶつぶつ独り言をいう癖があるらしく、みんなに「パレパレだよ」と笑われます。
むしろ、大会などに引っ張り出されたとき、一緒にお酒を飲むのが楽しい。みなさんの話題に多少付いていけるのも、碁を知っているプラス面です。
それよりもなにより、碁を知ったことで多くのお友だちができました。なにか共通項があれば、人は友人になりやすい。カメラマンとして女性大会の写真を撮った人たちと、年賀状のやりとりをするだけでも碁を覚えたかいがあるようにも思います。
(「日本の碁」第3号掲載/平成26年8月14日発行)