日中スーパー囲碁(2)
「日中スーパー囲碁」は、昭和59年、日本棋院において依田紀基五段ー汪見虹六段戦
で開幕しました。対局開始間もなく、汪の鼻血が止まらず緊張が走りました。「中国」を
背負って戦う意気込みとプレッシャーが窺える光景でした。
依田が勝利して順調なスタートの日本でしたが、中国二番手の江鋳久七段が依田を倒し、
この後、驚異的な快進撃を続けたのです。二番手の小林覚八段以下、淡路修三九段 、片岡聡
七段、石田章九段まで六人抜きを達成したのです。まさかの事態に日本チームは青ざめ、
中国碁界は大フィーバーとなったのです。
早くも三将の小林光一十段の出番となったのですが、さすがは小林です。江の連勝にストップ
を掛け、ショウ震中七段、銭宇平六段、曹大元八段、劉小光八段、馬暁春九段 を薙ぎ倒し六人
抜き。日本チームは安堵しました。中国のの残りは聶衛平九段ただ一人。日本は小林の後に
加藤正夫王座、藤沢秀行名誉棋聖が控えており、誰もが日本の勝利を疑わいませんでした。
しかし、ここから最後のドラマが始まったのです。(つづく)
第8回 28年1月15日
酒巻忠雄(本因坊秀芳囲碁さろん)