日中スーパー囲碁(3)
第1回日中スーパー囲碁は劇的な展開を辿って、中国残るは主将の聶衛平九段ただ一人。
日本は小林光一、加藤正夫、藤沢秀行の三人で、日本の勝利は目前でした。そんな最中、
秀行師の還暦のお祝いが箱根の「石葉亭」で催され、多くの棋士が参加しました。当然、
日中スーパーが話題となり、万が一小林、加藤の両氏が敗れて秀行師の出番となったら
責任をとって坊主になる、という話になったのです。多分、焚き付けたのは大竹英雄さん
あたりであったか、と記憶しています。
当時、聶九段はまだあまり知られてない存在でしたが、まず小林光一十段が敗れ日本チーム
は浮き足たち、更に加藤正夫王座がまさかの敗戦を喫し、遂に主将決戦となったのです。
病気上がりの60歳の秀行師に海外対局は酷なことでしたが、ルール上中国での対局の番で、
秀行師も快く北京に乗り込みました。中国にとっては願ってもない舞台設定となって、解説会場の
北京体育館には4000人ともいわれるファンが詰めかけ、大変な熱気でした。
結果は聶九段の先番2目半勝ちで、中国の劇的な勝利となりました。この活躍が聶九段に「鉄の
ゴールキーパー」の異名がつけられた始まりで、中国囲碁界の躍進が始まったのです。
加藤、小林両氏の坊主頭姿が、しばらく対局場や紙面で見らてたのは言うまでもありません。