松があるから梅になる
GW中、全国あちこちで無料入門講座が開かれていた。
この無料をもっと意味あるものにするには、一工夫が必要だ。
「松」 5千円(定員5名)
「竹」 千円(定員20名)
「梅」 無料(定員100名)
3つの囲碁入門をバランスよく開催していくのが理想だ。なぜか。
囲碁普及の面からは、無料で大勢に広めたほうがいいのではないか。
こういう意見もあるかもしれないが、それは違う。
100名参加の無料入門講座と、5名参加の5千円の入門講座。
将来囲碁ファンになる人、囲碁普及の面から見て効果はいい勝負。
もしかしたら5人5千円に軍配があがるかもしれない。
今まで数多くの現場を経験しての実感だ。最近の実例もある。
ここで何度かご紹介した「朝囲碁」は1回500円。
ワンコインで手軽に参加できるのがウリだ。
彼らがこの3月、毎週土曜に初心者対象で特訓教室を開催した。
1回3時間、1ヶ月(4回)で指導料が5万円。満席(定員6名)だった。
この値段と実績、驚く囲碁関係者も多いと思う。
「朝囲碁」は「竹」と「松」両方用意したのだ。(別途「梅」もやってるようだ)
初心者からしっかりお金が出てくることを証明した。
これからの囲碁界、ここに光明を見いだせる。
ご存じのとおり囲碁では「切る」という技がある。初心者にはよく
「切れるところがあったら、勇気を出してどんどん切りなさい」
と教える。しかしほんとうは、何でもかんでも切ったらだめだ。
切るぞ、切るぞと見せかけて、切らないことがあったり、なかったり。
それで初めて「切る」が有効になる。抜き身の刀を振り回しても、
相手にそれが撮影用のフェイクだと分かっていては、意味がない。
囲碁入門の参加者が「無料」を無料と感じるためには、
しっかりとした有料のものがラインナップになければならない。
無料しかなければ、それは「只のタダ」になってしまう。
松があるから梅になる。梅の意味がある。
全碁協でも、松竹梅、全部提供していきたい。
企画委員 根本 明