趣味じゃない囲碁
一生の趣味として囲碁いいですよ、というアプローチ。
囲碁業界の人にとって、星にケイマでかかってすべる、
ぐらいの、当たり前の定石だ。
しかしこの定石、そろそろ見直す時期だと思われる。
正会員の井場さんらが、「ほぼ毎朝」「7時から9時まで」、
「都内のカフェ」で囲碁を教えているのは、ご存じだろうか。
試しに「朝囲碁」で検索して頂きたい。
関西でも、京都や大阪で、同様にほぼ毎日開催されている。
参加している方のほとんどが、数ヶ月前まで囲碁に
興味が全くなかった人たち。それがわざわざ早起きして
出勤前に囲碁を打っているのだ。
囲碁界で今までこのような光景、あっただろうか。
参加者10人を超える日も珍しくないそうで、
カフェでやる関係でスペースに悩んでいるとか。
彼ら彼女らは、趣味として新たに囲碁を始めた感覚が
あまりないのに驚かされる。
では何か。
トレーニングなのである。
仕事で成果をあげるため、そして充実した日を送るための
一つの道具なのだ。ビジネスマンが朝、英会話を学ぶのと
全く同じ感覚で、囲碁に取り組んでいる。
「囲碁を打ってから仕事に行くと、よく頭が働くんです。」
参加者の言葉だ。もはやこれは、ラジオ体操だ。
いま碁会所を元気にする特効薬は
この「趣味じゃない囲碁」しかない。
今までずっと「趣味でどうですか」で現状なのだから、
ある程度説得力ある一手だろう。
ターゲットは20代―40代のビジネスマン。
「自己投資」という動機スイッチに火がつけば、
すぐにお金が出てくる。
そして、パイはまだたくさん埋もれている。
100人に1人もまだ囲碁をやったことがない。
これが前回、前々回紹介した、全碁協が情報を集め
人とマッチングして碁会所の空き時間の活用する、
の真意なのである。
碁会所が開店前、閉店後に、ビジネスマンが
動いているからである。
企画委員 根本明