創造性
囲碁は創造である。
解釈は人それぞれと思いますが、本ホームページをご覧の
皆様には、おそらく多少なりとも共感を頂けると信じています。
ではこの「創造性」は人間だけの際立った特徴と言えるでしょうか。
今はそうかもしれませんが、未来は?
私は人工知能に興味を持っています。
単に計算能力を指すのではなく、人間のように振る舞うような。
これまでは、映画や小説の中のフィクションとして描かれています。
私は富士通に勤めていますので、囲碁を使った人工知能の研究者や、
人間のように学習し、成長できる人工知能の開発を目指す研究者と
お会いする機会に恵まれました。
そして、そう遠くない未来に実現されるとの感覚を持ちました。
人工知能の研究の過程で、囲碁がゲームとして、機械が人間を
超えることは不可避の流れと、私は前提しています。
1990年代後半にコンピュータチェスが人間に勝ち、2015年現在
においてはコンピュータ将棋が一流プロに勝つことができる
レベルに達しています。
囲碁だけが特別と考えるのは、不遜でしょうから。
これは、囲碁にとって不幸な未来と言えるでしょうか?
私は、希望と捉えています。
希望というのは、囲碁が持つ潜在能力・可能性を、より具体的に
証明できると考えているからです。
私が漠然と認識している「創造性」と呼ぶものは、例えば・・・
「認知症の進行抑止、改善」や「数学/空間認識能力の向上」等と
言った効能として証明されるかもしれません。
私は、囲碁と一緒に成長してきました。恩があります。
その囲碁が、21世紀という変化の時代に飲み込まれることは望んで
いません。
また、数千年と生き延びてきたこの文化の更なる可能性を信じています。
多様な価値観が認められるようになった今日、囲碁と同じようにすばらしい
もの・・・囲碁にとってのライバルが増えました。
囲碁のすばらしさを証明することは、囲碁にとっての生存競争です。
私は、恩返しのために、囲碁の創造性を証明する取り組みを続けたいと思います。
皆様、しばらくお付き合い下さい。
企画委員 村上深